Birthday Story 香原 朱鳥

8月31日。今日の収録も順調に終わり、気がつけばボクは早足で帰っていたことに気がつく。いつもの帰り道が何だか焦れったく思うのは、今日がボクにとって特別な日だからだろう。
「ただいま!」
はやる気持ちを抑えながらボクがいつもの様に元気よく玄関のドアを開けた瞬間、いくつものクラッカーの音が鳴り響いた。
「お誕生日おめでとう!!」
玄関で並んで出迎えてくれたのは、シェアハウスをしている住人たち。ボクの誕生日を祝ってくれる彼らに、どうしようもなく愛しさがこみ上がる。
「ありがとう、みんな!!」
「って、そこでなんで俺に抱きつくんだよ! はーなーれーろ!!」
「HAHAHA! そんなに照れなくても、オレのあつーいハグはともちゃんだけのものさ☆」
「いらないって!!」
「まあまあ、そのあたりにして。朱さん、夕飯またでしょ? 今日はご馳走を作ったから、みんなで食べよう」
「そーそー! 朱鳥が帰ってくるまで待ってたから、オレも腹減ったー!」
「それは待たせてしまって、すまない! と、言うのもこれを入手するのに時間がかかってしまってね」
ボクは嫌がるともちゃんをぱっと離した後、持っていた紙箱をプリンセスに渡す。
「わ! これ、あの店のマカロンじゃないですか!」
「そう! プリンセスもみんなも気に入ってると聞いたからね、仕事帰りに買ってきたんだ☆ あとでみんなで食べよう!」
「……おい、何で主役が菓子買ってきてるんだよ。アホか」
「HAHAHA! これはオレからのお礼さ!」
誕生日は一人だけなら、別に特別な日ではない。祝う人がいてくれて、初めて特別な日になる。この日を特別な日にしてくれたみんなを見て、僕は満面の笑みを浮かべた。

MaStar☆Up!!