Prologue Story 02 Misgiving

Side
アラン

その日も、いつもと何も変わらない平和な休日の始まりだった。
プラネットリウムのメインストリートからほど近い場所に家を構えるスズネ家は、この街でそこそこに大きな商家だ。なんでも昔は小規模の商いをしていたが、親父たちの代で大きくなったらしい。
応接間で親父と誰かが話をしているのを脇目に、俺は家を飛び出た。
(今日の客もまた癖のありそうなヤツだったな……)
最近の商談相手は昔に比べて、一癖も二癖もあるようなヤツが多い気がする。というのは、俺から見た体感だったが。
金に物を言わせるヤツ、少々強引な手段で話をまとめるヤツ、とにかく口が上手いヤツ。
今のプラネットリウムは、それくらい癖がなければ生き残っていくことができないのかもしれない。
ここ、プラネットリウムはオリゾンテファミリーと呼ばれる犯罪組織が幅を利かせている街だ。
とくにここ数年は、日に日にマフィアの力が増してきているように思えてならない。そう思えるほどに、街に流れる資金が潤沢だ。おかげで住人たちの羽振りも良く、街の経済水準も飛躍的に上がった。まるですべてがいい方に向いているように思えるが、それは一面でしかないだろう。
光が強ければ、闇もまた濃くなるのだから。
そしてオリゾンテファミリーがドラッグで儲けているというのも公然の秘密なのだった。