Prologue Story 03 Encounter

Side
スバル

このプラネットリウムで生まれ育ってから十八年が過ぎようとしていた。
たった十八年といえどそれが俺の人生すべてなのだから、それなりの思い出がある。
楽しかったこと、嬉しかったこと、苦しかったこと、悲しかったこと。
この孤児院で夏の暑い時期には相棒とも呼べるナチと出会い、冬にはみんなで身を寄せあって眠ったこともある。イースターやカーニバルの時期にはパーティーもした。俺の手の届く範囲内で、俺たちはそれなりに充実した生活を送ってきたと思う。
けれど過去を振り返ったときに一番鮮明に覚えているのは、不思議と院での出来事ではなくて、街に住むというひとりの女の子との記憶だった。