星屑ヘリオグラフ

スチル

星海「フェリー、まだかな?」
昴 「まだ時間じゃないんだ。そんなに焦っても来ないよ」
星海「でも……」
波智「ソワソワしすぎなんだよ。落ち着けって」
星海「うーん……」
波智「はぁ……こりゃダメだな」
昴 「まあ、星海はずっと帰りを待ってたから仕方ないけどな」
星海「ねえ、ここで待っててもよく見えないし、堤防に上ってみようよ」
昴 「危ないぞ」
星海「慣れてるし、大丈夫だよ」
昴 「そういう問題じゃ……っておい!」
星海「よいしょ……っ」
堤防の上を両手で掴んでよじ登っていると腰の辺りを誰かに触られた。
昴 「支えてやるよ」
星海「ありがとう」
昴が押し上げてくれたから、簡単に堤防の上へ到着できた。
波智もついてきてくれるみたいで、堤防の上に来ていた。
波智「あーあー、スカートに汚れついてんぞ」
星海「自分で払うから大丈夫だよ」
波智「そう言って、この前絵の具が顔につきっぱなしだったのは、どこの誰だったっけな~?」
星海「あ! あれは、その……」
波智「お前はほんと、抜けてるよなぁ」
星海「そんなことないよ! ……と、思うよ?」
波智「ハッキリ言えない時点でダメだろ」
星海「ううっ……」
応戦できずにいると、波智の頭の上に昴が手を乗せた。
昴 「はいはい、ケンカはそこまで。フェリー見に行くんだろ」
星海「そうだよ! 波智の相手してる場合じゃないんだからね」
波智「相手してやってんのは俺だっつーの」
昴 「お前も星海を煽ってないで、行くぞ」
波智「わかったよ! だから頭押さえつけんなって、昴!」
昴 「そんなに押さえてるつもりなんだけどな」
波智「お前、割りと力強いんだから、気をつけろよな」
昴 「悪かったよ」
波智「ガジガジ君で許してやる!」
星海「あ! 私も食べたいなぁ」
昴 「そういうところはぴったり合うよな、お前ら。わかった、おごってやる」
波智「サンキュー!」
星海「ありがとう、昴」
私たちは笑いあいながら、堤防の先端を目指して歩き出した。